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TOC(制約理論)とは? ボトルネックが会社を変える!制約理論をわかりやすく解説

あなたは、TOC(制約理論)という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことがない、もしくは聞いたことがあるがよくわからないといった方が大半だと思います。
でも、ぜひ知っていただきたい。

なぜなら、TOCはあなたやあなたの会社を劇的に変える特効薬だからです。

TOCとは?

TOCとは、Theory of Constraintsの略であり、制約理論のことです。
イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラット博士が1984年に出版した小説『ザ・ゴール』で提唱した、全体最適のマネジメント理論です。

同書は空前の大ヒットとなりました。
世界のさまざまな言語にも翻訳され、ベストセラーとなりました。

日本にとっていわくつきのTOC

しかし、日本では2001年まで出版されませんでした。17年後という長い年月がかかりました。それはなぜか?
長年にわたりゴールドラット博士が日本語版の出版に同意しなかったからです。

その理由は、「『ザ・ゴール』が日本語で出版されると、世界経済が破滅してしまう」から。

 「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」

引用:「ザ・ゴール」エリヤフ・ゴールドラット著/三本木亮訳/稲垣公夫解説

ゴールドラット博士は、日本の一人勝ちを危惧したのです。
このように、日本にとって実はこのTOCはいわくつきなのです。
しかし、現在の日本はどうでしょうか?

「失われた○年」と言われて久しい状況。ゴールドラット博士の心配をよそに、経済力は低迷してしまっています。

私たちは、今こそTOCを学び、復活しなければなりません。

制約条件

TOCは、制約条件が重要となります。制約条件とは、言い換えると、ボトルネックのことです。
「システムの中で最も弱い部分」です。
TOCでは、この制約条件(ボトルネック)がシステム全体のパフォーマンスを決定すると考えます。

そして、この制約条件(ボトルネック)を継続的に改善することが、システムのパフォーマンス向上を実現するための最重要課題となります。

システムとは、入力〜プロセス〜出力の一連の流れ、体系です。
私たちの周りにあるものは、すべてシステムと考えられます。会社も1つのシステムです。

TOCとは、制約条件(ボトルネック)を継続的に改善して、(会社などの)システムのパフォーマンス向上を実現するための理論なのです。

会社のゴールとは?

そもそも小説『ザ・ゴール』の表題、ゴールとは何でしょうか?
ゴールとは、目的のことです。小説では、「会社のゴール(目的)は何か?」を問われています。
ゴールドラット博士は、その問いに対して、「会社のゴールは、現在そして将来にわたって、より多くのお金を儲け続けること」と言っています。

会社で行われている調達―生産―販売といったあらゆる活動は、この目的を達成するための手段であるということです。
このゴールを達成するために、何をどうすべきなのか?その方法論がTOC(制約理論)なのです。

システムのパフォーマンスは制約条件に依存する

ここで、ある例えを通して、TOCの制約条件(ボトルネック)を説明したいと思います。ひとつ目の例が砂時計です。
ここに砂時計があります。
この砂時計の砂の流れる量、すなわちパフォーマンスはいったい何によって決まるのでしょうか?

当たり前ですが、それは砂時計の一番細い部分です。
どれだけ砂を押し込んでも、一番細い部分の幅以上には砂は流れません。この砂時計のパフォーマンスは一番細い部分の幅、この制約条件(ボトルネック)一点に依存しているのです。

もうひとつの例が鎖です。

鎖の強さ、鎖のパフォーマンスは何で決まるのでしょうか?
もうお分かりですね。そう、鎖の中で一番弱い部分で決まります。

この鎖を強く引っ張ると、強度が一番弱い輪で切れてしまいます。
これは、他の部分がどれだけ強い輪でできていても同じです。
この鎖の強さは、強度が一番弱い輪=制約条件(ボトルネック)一点に依存しているのです。

したがって、この弱い輪を改善しない限り、鎖のパフォーマンスは向上しません。

集中の5ステップ

TOCの改善は、5つのステップでまとめられています。
これはシステムの制約条件を継続的に改善するための手順です。「継続的」というのがポイントです。

  • 制約条件(ボトルネック)を見つける
  • 制約条件(ボトルネック)を徹底活用する
  • 制約条件(ボトルネック)以外のすべてを制約条件(ボトルネック)に従属させる
  • 制約条件(ボトルネック)の能力を高める
  • 制約条件(ボトルネック)が解消されたら、最初のステップに戻る。惰性が次の制約条件(ボトルネック)にならないように注意する

第5ステップは、「ここで止めずに、次の制約条件(ボトルネック)を見つける」ということです。
このステップを何度も何度も回していく、継続的改善が重要です。

TOCにおける「集中」の定義

最後に、TOCにおける「集中」の定義をお伝えしたいと思います。

 「TOCの真髄を一言で言うなら、集中である。しかしその意味は、辞書に書かれている意味とはいささか異なる。やらないことを決めることこそが、TOCでいう集中である」

(エリヤフ・ゴールドラット)

私たちは日々の生活の中で、「やったほうがいい」と思うことがたくさんあります。

しかし、あれもこれもとやることで、貴重な時間やリソース、エネルギーが奪われて、肝心の制約条件に対する取り組みがおろそかになっていないか?

 「やったほうがいいこと(非制約条件)」をすることで、「やらなくてはいけないこと(制約条件)」への集中が欠けてしまっていないか?もう一度、集中の意味を考えてみましょう。

引用:「何が、会社の目的を妨げるのか」ラミ・ゴールドラット/岸良裕司著

まとめ

  • TOCとは、ゴールドラット博士が提唱した全体最適のマネジメント理論
  • 日本にとって、TOCはいわくつき(だから、今こそ学ぶべき!)
  • 会社のゴールは、現在そして将来にわたって、より多くのお金を儲け続けること
  • システムのパフォーマンスは、制約条件(ボトルネック)一点に依存する
  • 集中の5ステップを回し続ける、継続的改善が重要
  • TOCにおける「集中」は、やらないことを決めること

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