目次
こんなお悩みはありませんか?
経営革新計画は、こんな時に必要です。
・商品やサービスのアイデアはあるが、どう展開してよいか分からない
・資金繰りを把握したい
・公的な支援策を活用したい
・自社の体質改善をしたい
・新たな事業を始めたい、事業転換を図りたい
・次のステップに行きたいが、どうしてよいか分からない
・一度立ち止まって経営を見直してみたい
中小企業等経営強化法とは?
経営革新計画とは、一体何なのか?
そのためには、前提となる法律を知っておく必要があります。中小企業等経営強化法です。
中小企業等経営強化法では、「経営革新計画」、「経営力向上計画」等を規定し、中小企業の生産性向上等を図るための様々な取組を支援しています。
2020年10月1日に施行された「中小企業成長促進法」において、中小企業等経営強化法に基づく、新たな事業活動に取り組む「経営革新計画」、基礎体力をつける「経営力向上計画」、地域未来投資促進法に基づく、地域全体の活力向上を目指す「地域経済牽引事業計画」をベースに、生産性向上に向けた取組を支援する計画制度が整備統合され、成長段階に応じた体系に簡素化されました。
引用:2021年版経営革新計画進め方ガイドブック(中小企業庁)
簡単に言うと、似たような計画制度を統合して、中小企業の成長段階に応じた体系に簡素化したと言うことです。それを図式化すると、このようになります。
経営革新計画とは?
中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画は、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書です。
この計画を作成、承認を受けることで、承認された中小企業は各種支援策を活用することができます。また、
・自社の現状や課題を整理できる
・自社の目標と目標達成までのプロセスが明確化される
・PDCAサイクルを回すことができる
・社内や取引先、金融機関等に取り組みを伝えることができる
・事業や会社の停滞感を打破できる
といった会社の基盤強化に繋がる効果が期待できます。
※詳細なメリット、デメリットについては、以下の記事をご参考ください。
https://ko-manage.com/guide/kakusin/91/
経営革新計画の目的
そもそも中小企業にとって、経営革新計画を策定する目的は何でしょうか?
経営革新計画は、経営革新と経営計画の二語が合わさったもの、経営革新+経営計画です。
目的を考えるに当たって、この2つの用語を整理しましょう。
経営革新
中小企業等経営強化法では、「経営革新」を「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と定義しています(中小企業等経営強化法 第2条第9項)。
そもそも経営には革新が必要です。革新とは、経済的価値を高めることを狙いとした、企業の構造的変革です。企業の収益は、その企業の事業構造によって基本的に決まってしまいます。「我が社の事業構造を、どう高収益化するか?」事業構造の変革=経営革新こそが、経営計画の“核”となります。
経営計画
計画とは、「将来のことを決める」「未来を設計する」ことです。経営計画とは、自社の現状から将来のあるべき姿に到達するための「道標」となるもの、計画通りに進んでいるかどうかを測るための「ものさし」となるものです。 経営計画は、絶えず変化する環境の中で自社が現在よりも高い水準の目標を設定し、その目標を実現するために、何をするべきかを明確にするものです。
誤りのない手を打つために、社員を動機づけるために、そして、社長が日常の業務から解放され将来を考える時間を生み出すために、経営計画は、事業経営にとって不可欠なものなのです。
申請の対象
自社の経営革新計画に都道府県知事、国の地方機関等の長の承認を得ます。その申請の対象は、以下の通りです。
・中小企業等経営強化法第2条に規定する中小企業者であること
→資本金・従業員基準
・直近1年以上の営業実績があり、この期間に決算を行っていること(税務署に申告済みのこと)
※創業間もない企業や、これから創業する方などは対象となりません。
経営革新計画の要件
要件1 新事業活動に取り組む計画であること
これまで行ってきた既存事業とは異なる新事業活動に取り組む計画であることが必要です。
新事業活動とは、次の5つの分類いずれかに該当する事業活動をいいます。
- 新商品の開発又は生産
- 新役務(サービス)の開発又は提供
- 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
- 役務(サービス)の新たな提供の方式の導入
- 技術に関する研究開発及びその成果の利用、その他の新たな事業活動
「新たな事業活動」とは個々の中小企業者にとって「新たなもの」であれば、既に他社に置いて採用されている技術・方式を活用する場合でも原則として承認の対象となります。ただし、・業種毎に同業の中小企業の当該技術等の導入状況
・地域性の高いものについては、同一地域における同業他社における当該技術等の導入状況
を判断し、それぞれについて既に相当程度普及している技術・方式等の導入については、承認対象外となります。
要件2 「経営の相当程度の向上」を達成できる計画であること
次の2つの指標において、計画期間に応じた目標「伸び率」を達成することが必要です。
<計画期間>
3年間、4年間、5年間のいずれかを選択することができます。
(計画期間は、直近の決算後、最初の営業年度から開始となります)
<数値目標>
経営革新計画の承認を受けるためには、計画終了時に以下2つの指標を満たすビジネスプランを立てることが必要です。
<計画終了時の目標伸び率>
計画期間 | 【指標1】 「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率 |
【指標2】 「給与支給総額」の伸び率 |
3年の場合 | 9%以上 | 4.5%以上 |
4年の場合 | 12%以上 | 6.0%以上 |
5年の場合 | 15%以上 | 7.5%以上 |
- 「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
一人当たりの付加価値額=付加価値額÷従業員数
「年率3%以上の伸び率」が必要です。 - 給与支給総額
給与支給総額=役員報酬+給料+賃金+賞与+各種手当
「年率1.5%以上の伸び率」が必要です。
※「各種手当」には、残業手当、休日手当、家族(扶養)手当、住宅手当等を含み、給与所得とされない手当(退職手当等)及び福利厚生費は含みません。
承認を得るまでの流れ
承認を得るには、以下の流れで進めていきます。
- 都道府県担当部局等へ相談、問い合わせをします。
対象者の要件、経営革新計画の内容、申請手続き、申請窓口、支援措置の内容等を相談、問い合わせします。 - 必要書類の作成・準備をします。
計画承認申請書は、都道府県担当部局、国の地方機関等に用意されています。 - 都道府県担当部局、国の地方機関等へ申請書を提出します。
- 都道府県知事、国の地方機関等の長の承認を得ます。
申請に必要な書類
承認申請には以下の書類の提出が必要になります。
- 申請書 2部(正本、写し)
- 添付書類 各1部
〈法人の場合〉
定款
直近2期分の事業報告書、貸借対照表、損益計算書
※都道府県によっては、その他に提出する資料等がある場合がありますので、提出する都道府県にご確認ください。
経営革新計画を支援する機関
都道府県の担当部局の他に次のような支援センターや相談窓口がありますので、ぜひご利用ください。
・都道府県等中小企業支援センター
・認定経営革新等支援機関
・よろず支援拠点
注意事項
・経営革新計画の承認は、融資等の各種支援策の利用を保証するものではありません。支援策を活用できる対象になったということです。計画承認とは別に、利用を希望する支援策の実施機関への申込み、審査が必要となります。
・経営革新計画の承認は、申請書に記載されている商品やサービスを承認するものではありません。また、他企業及び一般個人に対して商取引を推薦するものではありません。
まとめ
経営には事業構造の変革=革新が必要であり、我が社の未来を設計する計画が必要である。経営革新計画は、事業経営にとって必要不可欠なものである。
経営革新計画は、その計画に対して、客観的な評価のもと、都道府県知事、国の地方機関等の長の承認を得られる制度。ぜひ活用しましょう!!
参考資料:2021年版経営革新計画進め方ガイドブック(中小企業庁)