1.どのような状態にあったか

売上は順調に伸びているのに利益が上がらない、切羽詰まった状況が何年も続いていました。税理士事務所で月次決算書を作成していましたが、読み方もよくわからず、手の打ち方がわかりませんでした。自力での再建は無理だと判断し、小島先生に依頼しました。

2.原因究明

●売上中心で、粗利と固定費のバランスがマネジメントできていなかった。
●業容拡大に伴う人員増に対して、組織体制、仕組みづくりが追いついておらず、ムリ・ムダ・ムラが多く、売上増が収益改善につながっていなかった。
●経営管理体制が弱く、経営に必要な数値管理、顧客別、事業別予実管理などの仕組みが未整備であり、各個人が自分の仕事を自分のやり方で実行している状態であった。
●経営計画がなく、予実管理が未実施でPDCAが回る仕組みがなかった。そのため、問題点の把握や改善、中期的な取り組みまで至らなかった。

3.アプローチ方法

【最重要課題】
各拠点の収支を見える化し、見直すことから始めました。赤字拠点から撤退したことで売上は減少しましたが、固定費をコントロールできたので、減収増益になりました。また、取引先ごとの利益額を洗い出していただけたので、根拠のある数字を持ってポイントをおさえた値上げ交渉ができました。今までは売上重視での思考でしたが、小島先生に出会ってからは利益重視の考え方に変わりました。まず手をつけたのが赤字事業からの撤退であり、3ヶ月かけて撤退し、4ヶ月目には黒字化しました。値上げ交渉は慎重に行いましたので、半年以上かけて交渉していきました。同時に社内の内務整理を、8ヶ月かけて行いました。

【社内の雰囲気】
小島先生に各事業所の分析をしていただき、各事業所での人件費を見直していく過程で、不正行為が発覚しました。不正行為を正していくことで、真面目に取り組んでいる従業員のモチベーションが上がり生産性が向上しました。残業代が減ったとの理由で退職する従業員もいましたが、残った従業員が意欲的にアイデアを出して、業務量の見直しやシフトの組み直しをしたことで、効率よく業務をできるようになり、従業員が生き生きとしています。会社の業績が上向くことで管理職の笑顔も増え、会社全体が明るくなりました。

【内部体制の確立】
小島先生との月次ミーティングにおいて早く会社の業績を把握できるように、税理士事務所に依頼して翌月末には月次決算書をもらうようにしました。小島先生からのご指摘において、膨らんだ固定費をコントロールするために、タイムレコーダーをデジタル化しました。結果、不正行為や無駄な残業が減り、導入コスト以上の効果が得られました。本社での勤怠管理も、事務員が締日以降に大量の勤怠記録を入力していた作業が、日々の作業に平準化できました。

【採算判断による意思決定】
受ける仕事の内容によっては、お断りするようにしました。今までは手当たり次第に安価で受注してきましたが、内容を精査して十分な利益が得られないと判断した時は丁重にお断りできるようになりました。見積り書や提案書の内容で他社様が受注する事もありますが、今後の課題として割り切って前向きに考えられるようになりました。

4.支援結果

売上至上主義から脱却し、利益重視で会社の舵取りをできるようになったことが、一番の成果だと思います。今までは安価な受注と大量で細かいオーダーに対して従業員に無理な負担をかけてしまい、売上以上に固定費が膨らんでいました。しかし、お問い合わせ先やお取引先としっかりと向き合って打ち合わせし、従業員とも十分なすり合わせをした上で受注していくことで、利益を確保できるようになりました。

●営業利益が大幅改善！赤字体質からの脱却に成功
●キャッシュフローベースで▲12→26百万円へ大幅改善！
●収益性向上：粗利率10ポイント以上改善
●生産性向上：15ポイント以上改善
●経営数字の見える化により、意思決定が迅速にできるようになった
●忙しいばかりで利益が出ない体質から、確実に利益が残る体質に変貌

5.今後の目標

仕入れ価格の高騰、最低賃金の上昇等もありますので、販売価格の見直し、既存取引先への値上げ交渉が必要な時期に来ていると考えられます。しかし、単に値上げをお願いするのではなく、品質とサービスの向上が伴った値上げ交渉をしていくべく、他社との差別化や付加価値の高い商品開発をしていきたいです。
短期的な数字しか見えていませんでしたが、小島先生から中長期での人材育成や設備投資も視野に入れるようアドバイスをいただいていますので、今後の課題として取り組んでいきます。